自立した老いとは 恩師の書簡より      その9

 平成17年(‘05年)4月18日 加藤盛夫さん95歳

「わらしがへり」讃歌

 北の国では、幼童を「わらし」と呼び、年老いて少しぼけが始まったかと思われるような老人を「わらしがへり」と呼ぶとか聞きました。私などもまちがいなく「わらしがえり」の境に入りました。
 
 気力も体力も衰えたし、記憶はうすれ、視力も聴力も日々弱くなりました。
 ともすれば生きる自信を失い、諸事投げやりになり勝ちです。けれども臆することも、めげることも無いと思っています。

 「わらし」は素晴らしい人間存在のかたちです。「わらし」と呼ばれることに誇りを持とう。
 「わらし」には、物欲も金欲も名誉欲もありません。他人を怨むことも憎むことも不要です。素直に自分の心に従って生きて行けばいいのです。他人の評価やうわさなど気にする必要は無いのです。

 「天衣無縫」に生きられるのは「わらし」の特権です。「天上天下唯我独尊」でいいのです。素晴らしいではありませんか。

 「わらしがへり」の老人達よ、引っ込んでいないで胸を張り、頭を挙げて「わらし」戻ったぞと声をあげよう。

 長い歴史を生きて来た、自分の人生に誇りを持とう。
「わらしがへり」は終着駅ではなくて回生の出発駅です。

 「わらしがへり万歳」
                                  盛夫

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時期がずれ上の手紙から10年余り前の加藤さんの絵葉書です。

 

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